パウロ外伝 修行編3話【反抗心】


本人の意思はさておき。
水神流の名門道場に入門することになったパウロは、師範であるオーガスタの家に居候していた。

パウロは住み込みの門下生なのだが、早朝、彼の姿は道場にも、与えられた部屋にもなく、町でも美人と評判な若き未亡人の家にあった。

パウロ
「ん……?」

ドアを激しく叩く音が聞こえて、パウロは目を覚ます。

女A
「んもう……こんな朝早くに誰かしら?
ちょっと出てくるわ。
だからパウロ、離してちょうだい?」

パウロ
「出なくていいよ。
早朝にうるさくする非常識なヤツなんて無視して、一緒にもうひと眠りしよう」

パウロ
「それに、わざわざ服を着るのも面倒だろう?
どうせまた脱ぐのにさ……」

女A
「ふふっ、やん、パウロ、くすぐったいわ」

パウロ
「んー……。
やっぱりもうひと眠りするのはやめて、楽しいことしようか――」

パウロは未亡人の女をベッドの中で抱きすくめ、肌の柔さを堪能するように腰を撫でる。
そのまま、行為になだれこもうとした時……ドアが吹き飛んだ。

女A
「きゃあ!」

オーガスタ
「ああ、すまないね、お嬢さん。
ドアはうちの門弟に修理させるから、勘弁してくれ」

吹き飛んだドアを踏みつけて入って来たのは、片手に剣を持ったオーガスタだった。

女A
「な、なんなの、あなた!?」

オーガスタ
「挨拶が遅れました。
そこで素っ裸になってる少年の師匠です」

パウロ
「いやいや、適当なこと言うなよ。
俺はお前が師匠なんて認めてないからな?」

オーガスタ
「おまえさんが認めようが認めまいが、うちの門下生であるのは事実だ。
さあ! 朝稽古に行くぞ!」

パウロ
「はぁ? 行くわけないだろ?」

呆れながら答えた瞬間、オーガスタが一瞬でパウロとの距離をつめる。
気づけばパウロの眼前には、剣が付きつけられていた。

オーガスタ
「行くぞ?」

パウロ
「嫌だって言ったら?」

オーガスタ
「気絶させてでもつれて行く。
そうなった場合、おまえさんが次に目を覚ました時、全裸で道場に転がされてることになるな」

パウロ
「!?」

オーガスタ
「兄弟子たちの前に、ご自慢のブツをさらしてみるかい?」

パウロはギリッと歯を噛みしめる。

パウロ
(こいつは、やるって言ったらやる……!)

パウロに選択肢はない。

パウロ
「……俺のパンツ、どこ?」

オーガスタ
「うんうん、それでいい」

満足気なオーガスタにつれられて、パウロは道場の朝稽古に参加させられた。

パウロ
(朝っぱらから汗臭い男たちと肩並べて、俺は何をしてるんだ……)

パウロ
(どうせなら……)

パウロの視線の先には、男の門下生たちに交じって剣を振るう、リーリャの姿があった。

パウロ
(うーん……昨日の子もスタイル良かったけど、リーリャも負けないくらい、たわわに揺れるものを……)

真面目に打ち込まなくても時間はすぎる。
朝稽古が終わると、パウロは道場と同じ敷地にある、オーガスタとリーリャの自宅へと足を運んだ。

オーガスタ
「フルート、今帰ったぞ。
いい匂いがするな。今日の朝めしはなんだい?」

フルート
「おかえりなさい、あなた、リーリャ。
……と、貴方もいるのね」

パウロ
「まぁ、残念ながら?」

夫と娘を迎えた彼女は、パウロが視界に入った瞬間、まったく隠すことなく、不快そうな顔をした。

パウロ
(せっかくの美人なのにもったいない)

フルート
「パウロ、貴方は着替えてきなさい。
そんな小汚い姿で同じ食卓につくなんて許しません」

パウロ
「別にメシだけもらえたら、一緒に食べなくてもいいんだけど?」

フルート
「なっ……!?
口ごたえしないで言うことを聞きなさい!」

オーガスタ
「まあまあ、フルート。
その辺にしといてくんな。
パウロ、おまえさんも早く着替えておいで」

リーリャ
「母さん、料理を並べるのを手伝うわ」

オーガスタとリーリャが間に入ったことで、パウロとフルートがそれ以上、言葉を交わすことはなかった。

パウロ
(うわ、まだ睨まれてる!)

パウロはその場からそそくさと立ち去る。

フルート
「あんな子を住み込みで弟子にするなんて!
あなた、何を考えてるの!?」

オーガスタ
「ハハッ、そうさなぁ……」

オーガスタ
「パウロは原石みたいな奴なんだ。
磨けば間違いなく光る。
だから、できればおれが磨きたいんだよ」

フルート
「原石? あれがそんなにいいものかしら?
あなたは剣士を見る目はあるかもしれないけど、人を見る目はないでしょう?」

フルート
「外見もまるでスラムの子のようだし、礼儀作法もまったくできていないわ。
そしてそれを、恥とも思っていない」

フルート
「学ぼうとか、自分を変えようとか、そういう前向きな気持ちが、あの子にはないの。
剣に関してもそうなんじゃない?」

オーガスタ
「今はそうだけど、いずれ変わるさ。
おれの腕の見せどころだな!」

後ろから聞こえてくる話は気づかなかったことにして、パウロはフルートに言われたとおり服を着替えた。

パウロ
(フルートはおれのことを嫌ってるし、おれもフルートのことは苦手だ。でも……)

パウロ
(メシは文句なしに美味いんだよな)

山盛りの食事を食べ終えると、パウロは一目散にオーガスタの家を出る。
それが住み込みを始めて以来の日課だった。

町の市場を見てまわる。
花や焼き菓子の出店に目を向けるが、何かを買おうと思っているわけではない。

パウロ
(花を買いにきた女の子……顔は可愛いけど、けっこうウエスト締めつけてるな……)

パウロ
(コルセットしてるのがわかるけど……顔は可愛いんだよなぁ……うーん、悩みどころだ)

日課の女の子チェック。
今晩泊めてくれそうな人を探す。

パウロ
「………………」

パウロ
「イチかバチか突撃してみるしかないな。
よし! 行ってみるか!」

パウロが意気揚々と花束を抱えた女に声をかけようとした時――。

リーリャの家の門下生A
「見つけたぞ! パウロ!」

パウロ
「げ……」

鬼の形相で走ってきた兄弟子たちが、パウロの行く手をはばむように取り囲んだ。

リーリャの家の門下生B
「毎日毎日、どうして私たちが、お前を探して駆けずり回らなければならないんだ!」

パウロ
「どうしてって言われてもな……。
俺は頼んでないだろう?」

リーリャの家の門下生A
「お前ではなく師範に頼まれてんだ!
そもそも、なんだその言葉遣いは!?
兄弟子には敬語を使え!」

パウロ
「は? 敬語?
師範にも使ってないんだから、兄弟子にも使わなくていいと思うんだけど?」

リーリャの家の門下生A
「なっ!? 私たちにも使え!
師範にはもっと使え!」

パウロ
(うるさいなぁ……)

パウロ
(こんな人ごみの中で大声出すから、注目集めてるじゃないか……)

さり気なく周囲を見わたして、パウロはふと気づく。
さっきまで声をかけようとしていた女が、遠巻きに状況を見ていた。

パウロ
(これは……)

パウロ
「……もしかして、チャンスなのでは?」

リーリャの家の門下生B
「? なんの話だ?」

リーリャの家の門下生A
「とにかく、道場へ行くぞ!
午後からはよその道場との合同稽古がある。
お前も参加するようにとのことだ」

パウロ
「合同稽古……」

パウロ
(ってことは、参加したとしても、俺の相手はよその道場の門下生か……)

なんの魅力も感じない誘いだった。
オーガスタや彼レベルの相手ならともかく、門下生との腕試しには心が躍らない。

パウロ
「俺はいい。
弱いヤツ同士のオケイコに、興味がないもんでさー」

リーリャの家の門下生A
「なんだと? 私たちを愚弄するか?
……もう限界だ」

リーリャの家の門下生A
「これまで師範の顔を立ててきたが、お前がいたのでは他の門下生の士気に関わる。
お前には道場から去ってもらうぞ!」

パウロ
「……去りたいのはやまやまだけど、まだ借りを返してないからな」

パウロ
「俺が目障りだって言うなら、力ずくで追い出してみろ!」

パウロが周囲にも聞こえる声で言い放つと、兄弟子たちは顔を赤くして剣を構えた。
それを見てにやりと笑い、パウロも剣を握る。

パウロ
(普段なら面倒だし、相手になんてしないけど……)

パウロ
(本気で向かってくるなら好都合だ。
あの男がどんな剣を教えてるのかわかる)

本気で向かってきてもらわなければ、稽古だけでは見えないこともある。

パウロ
(それに……)

パウロは剣神流の型で先手を取り、兄弟子のひとりに切りかかった。
鋭い一撃を相手は剣で受け止める。

パウロ
(おっ? こういう攻撃は避けるんじゃなくて、受け止めるようにって教えなのか?)

なるほど。
納得しながら即座に追撃する。
あっと言う間にひとりを倒して他のメンツを見すえた。

パウロ
「こんなもんか?」

リーリャの家の門下生B
「くっ……まだまだ!」

水神流の剣の型は基本的に受け身だ。
パウロから果敢に仕かけていく。

兄弟子たちを全員倒すのに、さして時間はかからなかった。
最後のひとりを倒した瞬間、周囲から歓声が上がった。


「すげぇな!
たったひとりで倒しちまうなんて!
見事な動きだったぜ!」

女B
「なんて強い子なの!
かっこいい~!」

自分を褒め称える声に満更でない顔をして、パウロは目当ての人物に視線を投げた。
花束を抱えた女がポッと頬を赤く染める。

パウロ
(想定どおりだ……!)

目をつけていた女の子に、かっこいい姿を見せつけて興味を引けた。
パウロは彼女の元へ近づく。

パウロ
「急に声かけて、ごめん。
実はさっきから綺麗な人だなぁと思ってて……。
もしよかったら、一緒にごはんでもどうかな?」

腕の立つ誠実な少年を装って声をかければ、彼女は照れたようにはにかみながら、頷いた。

パウロ
(よっし! やった!!)

パウロ
(あとはデートを成功させて、なんとか彼女の部屋に泊まってみせる!)

兄弟子たちのことなどはもう頭にない。
使命感に燃えながら、パウロは女をエスコートするように歩き出した。

翌日――。

パウロが目を覚ますと、柔らかいふたつの山に顔を埋めていた。
激しい夜を思い出し、げへへとにやける。

パウロ
(朝からもう1回ってのもアリだよな?)

パウロがいたずらに手を動かして、彼女を起こそうとしていると、ドアを叩く音が聞こえた。

パウロ
「………………」

オーガスタ
「パーウーローくーん!
あっそびましょー!」

パウロ
「……今日も、か……」

パウロは溜め息を漏らす。
柔らかな膨らみから手を離して、部屋のどこかで脱ぎ捨てたパンツを探すのだった。

道場に連行されて朝稽古に参加する。
昨日こてんぱんにした兄弟子たちの姿はない。

パウロ
(心折れたのかもな)

他人事のように思っていると、パウロの視界に素振りをするリーリャの姿が入った。

パウロ
「おはよう、リーリャ」

リーリャ
「………………」

パウロ
「今日の朝メシなんだろうな?
もうすっかりお腹空いちゃってさー」

リーリャ
「………………」

パウロ
「やっぱり肉がいいよな。
ハムとか薄いのじゃなくて、かぶりつくような食べ応えのある肉!」

リーリャ
「……そのくだらない話、まだ続くの?」

パウロ
「おっ! やっと反応してくれた」

リーリャ
「茶化さないで。
私は真剣に修行してるのよ」

リーリャ
「貴方がやる気がなくて、不真面目でも構わない。
だけど真面目にやっている人の邪魔をしないで」

パウロ
「ごめん、ごめん。
でも息抜きだって大事だろう?
いつも気を張ってたら疲れるし」

パウロ
「そうだ! 今日の午後、デートしよう!
美味しいメシ食ったりしてさ。
俺が朝までエスコートするから」

リーリャ
「デ、デートって、ふざけないで!
貴方とふたりで出かけたりしないわ!」

真っ赤な顔で怒るリーリャに、パウロは首を傾げる。

パウロ
「なんでそんなに怒るの?」

リーリャ
「私が知らないとでも思ってるの!?
貴方がいつも女の人と何をしてるのか……、ちゃんとわかってるんだから!」

リーリャ
「どうなるかわかってるのに、貴方とデートなんてするはずないでしょう!?」

パウロ
「どうなるかわかってる?
それって……俺とのソウイウコト、想像しちゃったって意味?」

リーリャ
「!?」

パウロはにやけながら、わざとらしく小首をかしげる。
リーリャは顔を赤くすると、素振りに使っていた剣をパウロに向けて振った。

パウロ
「ハハッ、いい太刀筋だ。
水神流を続けるのはもったいないくらい。
剣神流に転身しないか?」

リーリャ
「するわけないわ!」

リーリャが剣を振るい、パウロは軽々と避けていく。

素早い剣筋だったが目で追えないほどではない。
それよりもパウロが気になったのは、リーリャの足さばきだった。

パウロ
(なんだろう?
足の動きが独特なような……)

パウロ
(学校で習っていたものとは少し違うか?)

リーリャ
「ッ……当たらない……!?」

リーリャは悔し気に唇を噛みながら剣を振るう。
しかし、その剣はパウロに届く前に、横から伸びてきた別の剣によって止められた。

オーガスタ
「ハハッ、もうすっかり仲良しだな。
うんうん、門下生同士が打ち解けるのは大歓迎だ」

リーリャ
「父さん……じゃなくて、師範!
仲良くなんてありません!」

オーガスタ
「なんだい? 照れてるのか?」

リーリャ
「照れていません!
もういいです! 顔を洗ってきます!」

リーリャが勢いよく道場を飛び出して行く。
その背中を見送っていると、オーガスタがパウロの肩をポンと叩いた。

オーガスタ
「可愛い子だろう?
真面目で、純朴で、真っ直ぐで……。
おまえさんが、ちょっかいをかけたくなるのはわかる」

オーガスタ
「だが……時と場所を考えなさい。
ここはおれの道場だ。
女ではなく、剣と向き合え」

パウロ
「!」

パウロ
(こんな顔もできるのか)

背中がゾクリとするような鋭い目。
オーガスタの名門道場の師範としての顔に、パウロは気分が高揚するのを抑えられない。

パウロ
(今夜の予定は決まってなかったけど……、うん、今、決めた……!)

その日、パウロは道場に来て初めて、日中に女の子を引っかけに外出しなかった。

朝食を終えたあと。
パウロが剣を手入れしていると、ふと視線を感じた。
顔を上げてそっちを見ればフルートがいる。

フルート
「珍しくいるのなら、掃除くらいしようと思わないの?
無駄飯食らいの住み込みなんて迷惑よ」

パウロ
「それは旦那に言ってくれ。
住み込みの条件に掃除なんてなかった」

フルート
「言われなくてもやるものなの!
教えを乞う人間が自主的にね!」

パウロ
「へぇ、そういうものなのか。
でも俺は教えを乞いに来たんじゃなくて、強制的につれて来られただけだからなぁ……」

フルート
「言い訳するんじゃありません!
追い出されたくなかったら、庭の手入れをしておきなさい!」

フルート
「終わらせるまで食事は抜きよ!
今日中に終わらせなさい!」

そう吐き捨てると、フルートは足音を響かせて去って行く。

パウロ
「メシ抜きか……。
まぁ、ちょうど良かったかもな」

掃除や庭の手入れをするつもりはまったくない。
自分の武器の手入れをしたり、軽く身体を動かしたりして時間を過ごした。

そして夕暮れが訪れると、パウロは道場へ足を運んだ。
静かな道場にただひとり、師範のオーガスタが腰を下ろしている。

オーガスタ
「……来ると思ってたぞ」

パウロ
「え? なんで?」

オーガスタ
「朝稽古の時、おまえさんがおれを見る目は、ぎらついていた。
首を狙う奴の顔だったからなぁ」

オーガスタ
「もっと感情を隠せるようになりゃ、おまえさんの剣士としてのレベルも上がるさ」

パウロ
「感情を隠す……。
ハハッ、まるで貴族みたいだな」

オーガスタ
「言い得て妙だ。
剣を持つ貴族のほとんどは水神流を学ぶ。
貴族には水神流が合ってるのかもな」

パウロ
「そうか……じゃあやっぱり、俺には水神流は合わないな」

嘲笑を浮かべてパウロが言う。
そして剣の切っ先をオーガスタに向けた。

パウロ
「俺の目的がわかってるなら、話は早い。
さっさと立てよ……リベンジだ」

オーガスタ
「いいだろう。
弟子の挑戦を受けるのも、師範としての役目だからな」

パウロ
「だーかーらー……!
弟子じゃないって言ってるだろ!」

立ち上がったオーガスタの体勢が整う前に攻撃を仕かける。

パウロ
「勝負は始まってる!
卑怯なんて言うな、よっ!」

オーガスタ
「ハハッ、言うわけがない。
剣を握っているのに、待てなんて言うのはとんだ甘ちゃんだ」

パウロの一撃は軽やかな動きでかわされた。
即座に反撃の一閃が繰り出され、パウロは後ろに身体を引いて避ける。

パウロ
「!?」

しかし避けたはずの剣の切っ先が、パウロの服を裂いた。

パウロ
「今のが届いた……?」

オーガスタ
「どうした? もうやめるか?」

パウロ
「まさか!」

パウロは再び地面を蹴る。

パウロ
(道場で学ぶことはないと思ってたけど、役には立った……って、ことか!)

パウロが剣を振るった。
オーガスタがそれを避けて、反撃を繰り出し――。

オーガスタ
「!!」

パウロ
「……俺の勝ちだ」

パウロの剣先は、オーガスタの喉元につきつけられていた。

オーガスタ
「………………」

パウロ
「最初にやられた時は、何が起こったかわからなかったけど、今ならわかる」

パウロ
「お前は独特な足さばきをしてる。
そのせいで俺は距離を計れなかったんだ」

オーガスタ
「いつ気づいた?」

パウロ
「もしかしてと思ったのは今朝。
朝稽古でリーリャの動きを見ていて気づいた」

オーガスタ
「! リーリャの?」

パウロ
「他のヤツには教えてないのか?
この道場で独特な足さばきをしてるのは、リーリャだけだった」

オーガスタ
「……この動きはまだ、完成していない。
だから門下生には……リーリャにも、教えたつもりはないんだけどなぁ……」

オーガスタが苦笑する。
戦意は失せているようだが、勝負はまだ終わっていない。
パウロは剣を喉元につきつけたままだった。

パウロ
「彼女はクソ真面目みたいだからな。
どこかで見たお前の動きをマネしてたんだろう」

オーガスタ
「なるほど……。
頭に血が昇って冷静さを失い、咄嗟にそれが出てしまったということか……」

パウロ
「ああ、たぶんな」

パウロ
「それで? どうする?」

オーガスタ
「……はぁ、わかったわかった。
おれの負けだ、降参する」

オーガスタの言葉を聞き、パウロはようやく剣を下ろす。

実力者だと思っていたが、仕かけに気づいてしまえば呆気ないものだ。

パウロ
(なんだ……。
こんなものだったのか……)

満足感よりも、ほんの少しの失望感。
ここで初めてパウロは、オーガスタに何か期待していたのだと悟った。

パウロ
「……もうここに用はない。
明日にでも出て行く」

オーガスタ
「ん? 金はどうする気だ?
旅の資金はまったくないだろう?」

パウロ
「それは……」

オーガスタ
「もうしばらく逗留するといい。
それに……まだ、引き分けてるわけだしな」

パウロ
「引き分け?」

オーガスタ
「戦績は1勝1敗だろう?」

オーガスタの言葉にパウロは目を丸くする。
このおしゃべりな男は、今明らかに負けたのに、勝敗をトントンだと言っているのか?

オーガスタ
「ハハッ、次が楽しみだな。
正直なところ、おれはおまえさんの実力を、見くびっていたかもしれない」

オーガスタ
「まさかこんなに早く一敗を刻むことになるとは思っていなかった。
いい意味で裏切られたな」

オーガスタ
「だがますます、おまえさんの才能に惚れた。
おれの手でいっぱしの水神流の使い手に育ててやりたいねぇ……」

パウロ
「あのな、もう何度も言ってるはずだけど、俺は水神流より剣神流のほうがいい」

パウロ
「適当に言ってるわけじゃない。
両方やってみた上で、俺は剣神流を選んだ」

オーガスタ
「どうしてそう、パウロはかたくななんだ?
何か理由でもあるのか?」

パウロはそれには答えない。
踏みこんで来るなとばかりに無視を決めた。

オーガスタ
「……まぁ、無理に聞いても、おまえさんは話すようなタマじゃないわな……」

オーガスタ
「よし、とりあえず今日のところは、めしにしよう!
腹が減ってる内は、大きな決断なんてしないほうがいいからな」

パウロ
「メシか……あ」

オーガスタ
「なんだい? どうした?」

パウロ
「すっかり忘れてたけど、俺、フルートにメシ抜き宣言されてたんだった」

オーガスタ
「フルートに? なんでそんな話になってるんだ?
おまえさんたちは顔を合わせるのも嫌がってる間柄だろう?」

パウロとフルートの間にある確執に、どうやらオーガスタは気づいているようだ。

パウロ
(気づいてて放置してるのか)

パウロが呆れていると、オーガスタが笑いながら背中を叩いてくる。

オーガスタ
「剣士は身体が資本だ。
めしはちゃんと食べないといけない。
身体ができあがっている最中のおまえさんは特にな」

オーガスタ
「フルートにはおれから言っておく。
好きなだけ食えばいい」

パウロ
(俺なんて追い出せばいいのに。
嫁と揉めても責任なんて取れないぞ?)

オーガスタに背中を押されて家へと向かい、料理が並ぶ食卓に顔を出すと、案の定、フルートは嫌そうな顔をした。

フルート
「貴方、どうしてここへ来たの?
時間はあったはずなのに、庭の手入れも家の掃除も終わっていないようだけど」

オーガスタ
「フルート、そう言わないで、パウロの分も用意してやってくれないかい?」

フルート
「あなた、本気で言ってるの?
どうしてこの子をそんなに贔屓するの?」

フルート
「急に住み込みの弟子をつれて来たと思ったら、礼儀も何もなっていない粗暴な子……。
他の門下生たちに示しがつかないわ」

オーガスタ
「パウロは他の門下生とは違う」

フルート
「わからないわ。
何が違うと言うの?」

オーガスタ
「そうさな……」

オーガスタ
「さっき、剣でパウロに負けた。
そう言えばわかってもらえるかい?」

フルート
「!!」

リーリャ
「え……? 父さんが、負けた……?」

フルートは驚愕し、リーリャは呆然とする。
オーガスタを見つめるふたりの目は、ウソだと言ってと訴えているようだった。

オーガスタ
「ああ、負けた。
彼はそれほどの実力者だ」

オーガスタ
「だけどフルートの指摘したとおり、未熟な面もある。
おれは、そこを補いながら育てて、いずれは水神流の技を極めてほしいと思っている」

リーリャ
「こいつ……パウロは、そんなに才能があるの……?」

オーガスタ
「もしかすると、水神をしのぐほどの剣士になるかもしれないと、思うくらいには」

リーリャ
「ッ……」

リーリャが勢いよく席を立った。
彼女はパウロを睨みつけると、そのまま部屋を出て行ってしまう。

フルート
「……支度をしてくるわ」

フルートも部屋から出て行ってしまい、パウロとオーガスタだけが残された。

パウロ
(あーあ……)

オーガスタ
「さあ、パウロ、席につくんだ。
食事にしよう」

パウロ
「俺が言うのもなんだけど、いいのかよ?
家族で揉めそうだけど?」

オーガスタ
「揉めて、家族仲が壊れたのなら、修復すればいい。
手間と時間はかかるだろうがな」

パウロ
「修復ね……」

ほんの一瞬だけ、パウロの頭に捨てた家族の姿がよぎる。

パウロ
「……やっぱり、お前とはわかり合えないな」

パウロが吐き捨てるように言う。
その後、フルートは戻って来たが、リーリャは最後まで食卓に姿を見せなかった。

夜が明ける――。

その日の朝稽古に、オーガスタはパウロを迎えに来なかった。
道場に来て初めて、朝稽古が免除されたのだ。

パウロ
(これからどうするかな……。
とりあえず、さっさと戦績を勝ち越すか)

パウロ
(それさえ済めばいつでも旅立てる。
金はどうにでもなるだろうし……)

家にいるとフルートと顔を合わせてしまう。
パウロはキッチンで適当にパンをくすね、町へと繰り出した。

パウロ
(やることは決まってる)

パウロ
「今日はどの子と遊ぼうかな?
顔で選ぶか身体で選ぶか……。
それが問題だ」

キリッとした顔で市場を見わたす。
パウロより少し年上の女の子、色気のある美人、品のあるお嬢様タイプ……。

パウロ
(うんうん、よりどりみどりってのは、こういうことを言うんだよ)

パウロ
「……ん? あの女の人……」

武器屋から出てきたばかりの女が、ふとパウロの視界に入った。

パウロ
「ものすごい美女だ……!
しかも遠目でもわかるいい身体……!」

パウロ
「逃すなんて馬鹿なマネ、俺はしない!」

パウロは彼女に近づいて声をかける。
近くで見ると、ますます引きしまった身体つきだとわかった。

パウロ
「こんにちは!
おねえさん、この辺じゃ見ない顔だね。
もしかして旅人?」

女冒険者
「旅人? あたしは冒険者よ!」

パウロ
「冒険者……?」

女冒険者
「あんたはこの町の子?
ごはんが美味しい店を教えてほしいんだけど」

パウロ
「いいや、俺はこの町の人間じゃない。
でも長く逗留してるから美味しい店は知ってる。
よかったら案内するよ」

女冒険者
「あら、いいの?
それじゃあお願いしようかしら!」

パウロは笑顔で頷くと、女冒険者の隣に並んでさり気なく腰を抱いた。

女冒険者
「? エスコートしてくれるの?」

パウロ
「もちろん。
おねえさんは綺麗だから」

女冒険者
「口が上手いのね。
女冒険者相手に下心なくそんなことを言う人、めったにいないわ」

パウロ
「へぇ、そうなんだ……。
実は俺も下心あるって言ったらどうする?」

女冒険者
「あんたが?」

彼女はパウロを値踏みするように見て、にっこり笑う。

女冒険者
「あたしを満足させる自信があるの?」

パウロ
「なかったら誘わない。
俺を選んでくれたら、今夜は精いっぱいつくすよ」

女冒険者
「ふふ、楽しみね」

パウロの頬に彼女の唇が触れた。
さっそくのたわむれにパウロの口角が持ちあがる。

女冒険者との一夜は、それはもうすごかった。
大胆で、能動的で、互いをむさぼるような、激しい夜……。

翌朝、目が覚めた時、パウロの心は決まっていた。

パウロ
(俺……冒険者になる)

パウロ
(そうと決まれば、今日中に終わらせよう)

昼過ぎに出立すると言う女冒険者と別れ、パウロはその足で道場へと向かった。
道場では稽古が行われている。

オーガスタ
「おお、パウロ! やっと来たのかい!」

パウロ
「稽古に来たんじゃない……いや、ごたくはいい。
さっさと終わらせようぜ」

オーガスタ
「なるほど……。
おれと一戦交えに来たってことか」

オーガスタ
「いいだろう……おまえさんたち!
稽古は中断だ! 場所をあけなさい!」

オーガスタが声をかけると、門下生たちは困惑しながらも壁際に避けていく。

リーリャの家の門下生A
「し、師範……?
まさかパウロとさしで勝負なさるんですか?」

リーリャ
「! 本気……?」

一度パウロに負けていることを知っているからか、リーリャの顔色は悪い。

パウロ
「こんなに門下生がいていいのか?」

オーガスタ
「勉強になる戦いを弟子に見せない理由はない。
……合図を頼むよ」

リーリャの家の門下生B
「は、はい……!」

パウロ
(負ける姿を弟子に見られてもいい?)

パウロ
(どういうつもりか知らないが、こいつの名声なんて俺にはどうでもいいことだ)

リーリャの家の門下生B
「……いざ尋常に、はじめッ!」

合図と共に道場の床を蹴った。

パウロ
(この一撃をこいつは受け止めて、上に跳ねあげる……!)

パウロの想定通りにオーガスタが動く。
剣は受け止められ、上に弾かれた。

パウロ
(あの独特な足さばきは対処できる。
対処して、追い打ちをかければ――)

オーガスタの足の動きを追うために視線を下にずらした瞬間。

オーガスタ
「ハハッ、若いな」

パウロ
「!?」

オーガスタの足が動かない。
予想とは違うことが起き、一瞬パウロは動揺する。

一瞬だけ、ほんのわずかな時間だ。
しかし名門と謳われる道場の師範は、その一瞬を見逃さなかった。

パウロ
「ッ、ぐ……!!」

パウロの身体が吹き飛び、周りを囲んでいた門下生の中につっこんで行く。

オーガスタ
「さて、判定は?」

リーリャの家の門下生B
「!! 師範の勝ち、です!」

門下生たちの歓声が上がるのを、パウロは道場の天井を見ながら聞いていた。

パウロ
(今、何が起きたんだ……?)

パウロ
(見えなかった? いや、違う……。
読めなかったんだ……)

呆然としていると、視界にオーガスタが入ってきた。
彼は楽しそうな顔でニヤニヤ笑っている。

オーガスタ
「ハハッ……なぁ、パウロ。
前回と今回、何が違ったのかわかるかい?」

パウロ
「……足の運び方だろう?」

オーガスタ
「そういうことじゃない。
技術的な面の話をしてるわけじゃなくてな。
おれが言ってるのは、精神的な面の話さ」

オーガスタ
「前回のおまえさんは挑戦者で、全力でおれに向かって来てた。
今回のおまえさんは、正直、おれを舐めていたろ?」

パウロ
「!!」

オーガスタの指摘通りだった。
パウロは悔しげに表情を歪める。

オーガスタ
「まぁ、なんにしろ、だ。
これで戦績はおれの勝ち越しになっちまったな」

オーガスタ
「まさか負けたまんま、尻尾を巻いて逃げだしたりはしないだろう?」

パウロ
「……当たり前だ!」

パウロは身体を起こして立ち上がると、道場に背を向けた。
後ろからは師範を讃える門下生たちの声が聞こえる。

パウロ
(精神面? なんだそれ!)

パウロ
(気持ちだけで強くなれるなら、それこそ道場なんて存在意味ないだろう!?)

道場の看板を睨みつけて、パウロは苛立ちを抱えたまま町へ繰り出した。

しかし、苛立ちが隠せていなかったのか、その日に限って女の子が捕まらない。

深夜――。
パウロは忍びこむように道場に戻って来た。

パウロ
(! 誰かいる……?)

物音が聞こえて中を覗くと、そこには剣を振る人影があった。

リーリャ
「ふっ……はぁ! ッ、やあッ!」

パウロ
(なんだ、リーリャか)

パウロ
「こんな時間に自主練してるの?」

リーリャ
「!? パウロ!?」

声をかければ彼女は勢いよく振り返り、手にしていた練習用の剣を落とした。
近づいて剣を拾って見れば持ち手に血が滲んでいる。

パウロ
「手、怪我してるのか?」

リーリャ
「あんたには関係ないでしょ」

パウロ
「まともに握れない手で剣を振っても、なんの力にもならないだろう?」

リーリャ
「!!」

パウロ
「無駄なことしないで、これからふたりで遊びに行かないか?」

パウロはリーリャの腕を引いて抱きよせる。
腰に手を回せば、彼女の身体が強張った。

パウロ
「夜にしかできない遊びがあるんだ。
俺が手取り足取り教えてあげる」

リーリャ
「ふざけないで!」

パウロ
「っと……」

振り上げられたリーリャの手を掴む。
殴られずに済んだ。
リーリャは憎々しげにパウロを睨みつけている。

パウロ
「危な……。
水神流の剣士が平手打ちか?」

リーリャ
「うるさい! なんなのよ、あんた!
急にうちに来たと思ったら、修行もしないで遊んでばっかり……!」

リーリャ
「それなのに父さんはあんたに期待して、腕を認めてる!! 真面目に修行に打ち込む、
門下生のみんなじゃなくてね……!!」

パウロが現れて以来、リーリャには鬱憤が溜まっていたのだろう。
パウロの登場で家庭内もギスギスしている。

リーリャ
「それなのに、あんたは……!
期待に応えようって思わないの!?」

パウロ
「……言いたいことはわかるけど、そういう風には思わないな」

パウロ
「勝手に期待されるのも、勝手に失望されるのも、俺には迷惑でしかない」

リーリャ
「ッ……! なんで、あんたみたいなヤツに……!」

リーリャがパウロをつき飛ばすように押した。
パウロは彼女から手を離して数歩下がる。

自分を睨みつけてくる目を見て、パウロの胸がドキリと跳ねた。

パウロ
(なんだ、これ……?)

パウロ
(あきらかに俺を嫌ってるくせに、嫌悪感や不快感だけじゃない目で見てきてる)

リーリャ
「どいて!」

パウロ
「あ、うん……」

動揺している間にリーリャはパウロを残して道場を出て行ってしまう。

リーリャ
「……なんであんなヤツに、父さんが認めるくらいの才能があるのよ……!」

出て行く間際に彼女が吐き捨てた言葉は、パウロの耳に届く。
それを聞いて腑に落ちた。

パウロ
「ああ、なるほど……。
嫌いで、嫉妬してるだけじゃないのか……」

リーリャはパウロを疎んでいるのと同時に、剣術の才能を認めてもいるのだろう。
それこそ、自分と比べて嫉妬するほどに。

そう思うと、リーリャに向けられた清濁混じった目は、なかなかに心地のいいものなのかもしれない。

パウロ
(あの目を見ていられるなら、もう少しここに顔出してもいいかもしれないな)

パウロ
「……で、オーガスタはすぐに負かす!
次は油断しない。絶対に倒してやる……!」

パウロは意気込み、次の日から比較的ひんぱんに道場に顔を出すようになった。
……とはいえ、ほとんど毎回遅刻しているのだが。

それからしばらくして――。
パウロとオーガスタの戦績が二十戦を超えた頃。

オーガスタ
「ハハッ、今日はおれの勝ちだな。
これで戦績は十一勝十敗。
またおれが勝ち越しちまったねぇ……」

パウロ
「クソッ!」

パウロ
「今日の技、なんだよ!
これだけ毎日やってたのに初めて見るぞ?
今まで隠してたのか!?」

オーガスタ
「水神流には基本の技も応用の技も、それこそ山のようにある。
たった二十戦程度で全部見た気になっていたのかい?」

パウロ
「ッ……」

ぐうの音も出なかった。
オーガスタはとにかく手札が多い。
そのためパウロは手が読めず、なかなか勝ち越せずにいた。

オーガスタ
「うんうん、いい顔だ。
自分の知らない剣を見せられて悔しいか?
おまえさんが頼むなら教えてやってもいいぞ?」

パウロ
「それってつまり……、正式に弟子入りしろってことだろう?
絶対にお断りだ!」

オーガスタ
「ハハッ、残念だ。
気が変わるのを待つとするか。
おまえさんをボコボコにしながら」

パウロ
「お前……!
俺を痛めつけて楽しんでるだろう!?」

オーガスタ
「そんなまさか!
楽しんでいるのは否定しないが、そういう意図で楽しんでいるわけじゃない」

オーガスタ
「長いこと研鑽をつんできた剣士として、腕を試せる機会が楽しくないはずないだろ?
おまえさんにもわかるはずだ」

確かに気持ちはわかる。
けれど素直に答えるのが癪で、パウロはその問いには答えなかった。

パウロ
「……明日は戦績を五分に戻す」

オーガスタ
「ん? ああ、明日は無理だ。
人が来ることになっていてな」

パウロ
「人?」

オーガスタ
「気になるかい? 気になるだろう?」

パウロ
「いんや、特には」

オーガスタ
「そうかそうか!
そんなに気になるなら教えてあげよう!
なんと明日! この道場に――」

オーガスタ
「水神様がいらっしゃるんだ!」

自慢げに胸を張り、オーガスタが宣言する。
道場内に沈黙が流れた。

オーガスタ
「ん、んん? なんだこの反応?
ちょっと予想してたのと違うんだが……」

リーリャ
「と、父さん……い、いえ、師範……。
あ、あああ明日、あの、水神レイダ様がいらっしゃるんですか……?」

オーガスタ
「ああ! みんなを驚かせようと、今日まで秘密にしてきたが――」

リーリャ
「な、なななんで秘密になんてしてるのよ!!
水神様がいらっしゃるのに、なんの準備のできてないじゃない!!」

リーリャの家の門下生A
「ど、道場の大掃除だ!
ああ! 道場までの道の清掃も!!」

リーリャをはじめとする門下生たちが、バタバタ動きはじめる。
オーガスタは何がなんだかわかっていないようだ。

パウロ
(水神……水神流で一番強いヤツ……。
いったいどんな人なんだろう?)

剣を握る手に自然と力が入る。
知らず知らずのうちにパウロは笑っていた。



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