パウロ外伝 冒険者引退編1話【ゼニス】


ランクAを誇る冒険者パーティは数あるが、中でも最近、必ずと言っていいほど名前が挙がる、話題のパーティがあった――。

女A
「ねえねえ、聞いた?
例のパーティがまた迷宮を踏破したんですって!」

男A
「戦ってるのを見たことあるけど、所属するメンバーはバラバラの種族なのに、息がピッタリなんだよ!」

男A
「シンプルな連携なんだけど、個人個人の実力がすごく高くてさ!
同じ冒険者として憧れちゃうよ!」

女B
「リーダーが素敵なのよね。
強いし、綺麗な顔してるし、そ、それにぃ……、噂では夜がすごいんですって……!」

男B
「ヤ、ヤツらはバケモンだ!
通ったあとには草1本残らないってのは有名な話じゃねえか!!」

男C
「酒場で絡まれたとかで大暴れしたんだと。
あいつらに喧嘩売るって、度胸があるとか以前に馬鹿だよな。死にたいのか?」

好評と悪評が入り混じる評価は中央大陸中で広まっており、誰もが彼らの動向に注目している。
その少数精鋭のパーティの名は、黒狼の牙――。

彼らは現在、赤竜山脈を駆けずり回っていた。

パウロ
「うぉぉぉおおおおぉぉ!!
こっち来てんぞ! 逃げろ逃げろ!!」

ギース
「ぐぐっ、重ッ……!
生きて帰ったら痩せろよ、タルハンド!」

タルハンド
「うむ、生きて帰れたらな」

エリナリーゼ
「縁起でもないこと言わないでくださいな!」

パウロとギースが足の遅いタルハンドの両腕をそれぞれ引きずって、山脈の道なき道を駆け降りていく。
そのすぐ後ろにはエリナリーゼが続いていた。

ギレーヌ
「こっちだ! 茂みをつっきる!
先は急な坂だ! 気をつけろ!」

先頭を走るギレーヌが振り返らずに大声で言い、同時に深い藪へと姿を消す。
パウロたちも彼女に続いて茂みの中へ踏み込んだ、瞬間。

足元にあるはずの地面がなかった。

パウロ
「はぁぁあああぁ!?」

ギース
「崖ぇぇえええ!?」

全力で走っていた足は止められない。
急転直下。
黒狼の牙のメンバーは崖から落下した。

不幸中の幸い、茂る木々の葉枝がクッションとなって、絶命や大けがをすることはなかった。

自らの意思で飛び降りたギレーヌ以外、全員がしこたま地面に叩きつけられ、大空を仰ぐことになった。

エリナリーゼ
「……最悪ですわ」

パウロ
「同感だ。でも生き延びた」

ギレーヌ
「ギリギリだったがな」

空高くを赤竜(レッドドラゴン)が飛翔していた。
今までパウロたちを追いまわしていた個体だ。
獲物を見失った魔物は旋回し、群れへと戻っていく。

主に赤竜山脈に生息する赤竜はひどく獰猛で、中央大陸ではもっとも危険な魔物に分類されている。
単体でSランクの強さを持つとされていた。

パウロ
「信じられねえよな……。
あのデカブツがあんな軽快に動くなんてよ……」

身体を起こしながらパウロがしみじみ呟く。
声音や言葉とはうらはらに、彼はどことなく楽しげな表情を浮かべていた。

ギース
「口から炎吐いてたろ?
もしあんなのまともに食らってたら、骨ごと灰になってもおかしくないぜ……」

タルハンド
「加えて知能も高そうじゃな。
厄介な敵から潰しておこうとする目ざとさがあった」

ギレーヌ
「倒すにはこちらの数が少なすぎる」

パウロ
「7……いや、8パーティはほしいとこだな。
まあ、それでも少なくねえ犠牲は出るだろうけど」

エリナリーゼ
「誰ですの!?
あんなに強力な赤竜を見たいだなんて言い出したのは!」

ギース
「そりゃお前……」

黒狼の牙のメンバーの目がリーダーに集まる。
つき刺さる視線にパウロは顔をしかめた。

パウロ
「俺だけじゃねえだろ!」

エリナリーゼ
「ほとんどあなたの意向ですわ!」

パウロ
「なんでそうなるんだよ!」

パウロ
「赤竜山脈の近くまで行くんだし、どうせなら赤竜を見てこうぜって言った時、お前も賛成したじゃねえか!」

エリナリーゼ
「遠くからでも見えましたでしょう!?
わざわざここまで近寄る必要がありまして!?」

ギレーヌ
「………………」

ギース
「?」

パウロとエリナリーゼが顔をつき合わせて怒鳴り、ギレーヌがそれを見ている。

なんとなく違和感を覚えたギースが首を傾げていると、パウロたちの間にタルハンドが割って入った。

タルハンド
「吠えるな、エリナリーゼ。
あわよくばという気持ちは貴様にもあったじゃろう?」

エリナリーゼ
「とはいえ、命あってのお金ですわ」

ギース
「竜討伐は儲かるからな。
骨、肉、皮……竜の素材は最上級品。
討伐の報酬だって1年は遊んで暮らせる額だぜ」

ギレーヌ
「1年? そんなに金が手に入るのか!」

ギース
「ああ。細かいとこはともかく、危険な依頼の相場くらいは覚えとけよ?」

ギレーヌ
「……努力する」

ギレーヌは神妙な面持ちで頷いたが、努力したとして理解するに至るかは定かではない。

表情が固いギレーヌの肩を、パウロがおもむろに抱き寄せた。

パウロ
「まあ、気張りすぎんなよ!
うちにはお前を騙して搾取しようなんて考えるようなヤツはいねえんだからさ!」

ギレーヌ
「ああ、そうだな……」

ギース
「………………」

タルハンド
「……何はともあれ、請け負った依頼自体は終わっておる。
ギルドに戻らねばな」

パウロ
「おう! さっさと帰って酒場に繰り出そうぜ!」

近頃の黒狼の牙は、キッカ王国やサナキア王国のギルドを行き来する形で活動をしている。

そのため黒狼の牙は両国では特に注目されており、見事に依頼をこなして帰還すれば、関係を築きたい有力者たちがこぞって祝いの席を用意してくれた。

見目麗しい若い男女が集められた酒場で、パウロたちは飲めや歌えやの大騒ぎを繰り広げていた。

ギース
「………………」

パウロ
「おいおい、ギース!
なーに難しい顔してんだよ?」

パウロ
「美味い料理に高い酒!
綺麗どころも揃ってる宴なのに楽しめねえってか?
贅沢な男になっちまってよぉ!」

すでに浴びるように酒を飲んでいるパウロは上機嫌で、赤い顔でギースの肩をバシバシ叩いている。

ギース
「……パウロ」

パウロ
「んー?」

ギース
「話がある」

パウロ
「話? なんだよ?」

ギース
「真面目な話だ」

パウロ
「おう?」

周囲の賑やかさに反して、ふたりが囲むテーブルには緊迫した空気が流れていた。

それを察してか接待で集められていた男女はサッと離れていく。
飲み比べをするタルハンド、男たちをはべらすエリナリーゼ、静かに飲んでいるギレーヌのほうへそれぞれ別れていった。

ギース
「俺の気のせいかもしれねえ」

パウロ
「なんだよ? もったいぶらねえで、言いたいことがあるならさっさと言えよな」

ギース
「ああ……」

ギース
「パウロ、お前……食ったろ?」

パウロ
「………………」

何を? とは尋ねない。
はっきり言われなくても、ギースが何を差して言っているのか、パウロはちゃんと理解していた。

ギース
「お前、手ェ出したよな?」

ギース
「ギレーヌに」

パウロ
「………………」

ギース
「それだけじゃねえ。
エリナリーゼとも寝ただろ?」

パウロ
「………………」

無言は肯定。
パウロは杯に残っていた酒を呷ると、肘をついて両手を組んだ。

パウロ
「聞いてくれ」

ギース
「お前の情事なんざ聞きたくねえが、パーティの現状を知らなくちゃなんねえからな……」

パウロ
「発情期だったんだ」

ギース
「は? お前は年中発情してんだろ?」

パウロ
「馬鹿か、俺のことじゃねえよ」

何を当たり前のことを言ってるんだと言わんばかりのギースを、パウロはジロりと睨みつけた。

パウロ
「俺じゃなくて、ギレーヌが、だ」

ギース
「……いつのことだ?」

パウロ
「この間、大金が入った依頼があっただろ?
お前がギャンブルで金をすって、しばらく身を隠してた時に、まあ、そういうことになった」

ギース
「……タルハンドは?」

パウロ
「そりゃあれだ、大金が入ったから、あいつは酒場をハシゴしては飲み比べして、潰れて、起きたら飲み比べしての繰り返しでいなかったんだ」

パウロ
「ちょうどっていうか、その時に発情期がきたらしくてさ。
つい、こう、手が出ちまったっていうか……」

パウロ
「あんないいケツの女に誘われたら、男として跳ねのけるわけにはいかねえだろ?」

ギース
「ん? ギレーヌから誘ったのか?」

パウロの返事が一瞬つまる。
そして、ギースからあからさまに目を逸らした。

パウロ
「いや、その、誘われたっつーか、俺がつけこんだっつーか……」

ギース
「節操がないにもほどがあるな。
熱に浮かされたギレーヌを見てたまらなくなって、まんまと手を出したってわけか」

ギース
「で? エリナリーゼとは?」

パウロ
「あー……ギレーヌとのことがバレて、なし崩し的に、関係を持つことに……」

パウロがエリナリーゼと関係を持つのは初めてではない。
彼女を勧誘した時に初めて肌を合わせ、その後も何度かベッドを共にした。

だがパーティの女性全員と寝て、これから黒狼の牙の雰囲気や関係がどうなるのか、それはパウロ本人にもわからない。

ギース
「……お前さー、もう本当に……、呆れるくらい下半身で生きてるよな……」

ギース
「頼むから、うまいことやってくれよ?
仲間内で刃傷沙汰とか勘弁だぜ?」

パウロ
「……わかってるって。
黒狼の牙は最高のパーティだ。
俺だってぶっ壊したいなんざ思ってねえよ」

ギース
「それがわかってて手ェ出しちまうんだから、救いようがねえよ……。
その奔放な息子、ちゃんと躾けとけよな」

パウロ
「……おう」

ギースに釘を刺されて、パウロは頷くしかなかった。

黒狼の牙を結成する前、パウロはその場限りのパーティに加入し、メンバーの女に手を出しては追い出されている。

(学習しねえよな、俺も……)

手を出す女は選ばなくてはならない。
簡単に関係を持ってはいけない相手がいるということを、パウロはぼんやりとしか理解できていなかった。

パウロ
「……よしっ!」

ギース
「気合い入れてどうした?」

パウロ
「遊んでくる」

堂々とそう宣言して、パウロは宴に呼び集められた女たちのほうへ、声をかけに向かう。

ギース
「……躾ける気ねえな、ありゃ」

ポツリと漏れたギースの呆れたような呟きは、女を漁るパウロには届かなかった。

黒狼の牙は全てが上手くまわっている。
メンバー全員が自由に使えるくらいの金を集めるのも難しくなく、悪評混じりではあるが、名声も高まっていた。

パウロ
(……順調なんだよな)

だからかもしれない。
家を飛び出して以降、慌ただしく過ごしていたパウロが、安定した日常に、どこか物足りなさを感じはじめているのは――。

パウロ
(だからって、赤竜を見に行こうってのは、刺激的どころかぶっ飛んだ提案だったかもしれねえ)

数日後、パウロはエリナリーゼをつれて、ギルドに顔を出した。

物足りなさを感じなくて済むように、竜討伐ほどではないにしても、そこそこ高難易度の依頼を受けようと考えてのことだ。

パウロ
(ん?)

掲示板を見に行こうとしたパウロとエリナリーゼは、男たちがこちらに背を向けて肩を寄せ合っているのに気づく。
どうやら誰かを囲んでいるらしい。

冒険者A
「へえ! ゼニスちゃんはまだ15歳なのに、もうDランクの冒険者なのか!
しかも治癒術師なんてすごいじゃないか!」

冒険者B
「まだどこのパーティにも入ってないなら、たちのとこにおいでよ。治癒術師を募集してるんだ。
これから一緒に切磋琢磨していこう!」

ゼニス
「まあ! 本当に? いいの?」

冒険者B
「もちろんさ! ああ、でも……、うちのリーダーはBランクの冒険者だから、ゼニスちゃんは今すぐにはパーティに入れないんだ」

冒険者B
「とりあえず見習いってことで入ったらいい。
ちゃんと報酬も渡すよ。Bランクの依頼だから、ゼニスちゃんの取り分は――」

パウロが話を聞く限り、冒険者たちが新人を勧誘しているところらしい。
見習い扱いとはいえ、提示している額は相場よりもかなり低かった。

パウロ
(馬鹿だろ? 誰がその程度の金額で、仲間に入りたがるんだよ)

パウロがつい鼻で笑った時、信じられない言葉が聞こえてきた。

ゼニス
「パーティに入れてくれるだけじゃなくて、私にも報酬をわけてくれるの?
あなたたち、すごく優しいのね!」

パウロ
(……はっ!?)

パウロ
(ギレーヌ並みの頭のヤツがいるのか!?)

明るい声の、ほいほいついて行きそうな様子に、パウロは思わずそちらへ顔を向けた。
男たちの肩の間から、ゼニスと呼ばれた少女の姿が見える。

パウロ
(っ……!!)

まだ幼さの残る顔立ちの少女を見た瞬間、パウロは初めての感覚に襲われた。
それがいったいなんなのか、本人にもわからない。

エリナリーゼ
「純粋と言えば聞こえはいいですけど、あれではひどい目に遭いますでしょうね。
もっとも、わたくしたちには関係のない……パウロ?」

気づけばパウロの足は動いていた。
エリナリーゼの横を無言でとおりすぎ――。

パウロ
(こいつの頭が空っぽなのか、世間知らずなのかは知らねえが、放っておけない)

パウロ
(Aランクのパーティとして、下のモンをビシッとシメておかねえと……責任ってヤツだな!)

パウロ
(ちょうどうちにも回復役がほしかったとこだし……)

心の中で誰にともなく言いわけしながら、パウロは男たちの肩に手をかける。

パウロ
「奇遇だな」

パウロ
「うちも探してたんだ、治癒術師」

冒険者A
「ああ!? 急になんだテメェ!うちが先に声をかけたんだぞ?
しゃしゃり出てきてんじゃねえよ!!」

ゼニス
「え? え?」

パウロ
「ハッ、本性現しやがったな?」

突然現れたパウロや、それまでの優しい態度を一変させ、声を荒げた冒険者たちに、ゼニスは混乱しているようだ。

パウロ
「新人に声かけて騙そうとするなんざ、汚ねえことやってんな。
何も知らないヤツから搾取してやろうってか?」

冒険者A
「うるせえ! なんなんだテメェは!?
俺らに説教するつもりか? 何様だぁ?」

冒険者たちは肩を掴んでいたパウロの手を弾いて、凄んでくる。
生意気に正義感を振りかざす青年……、くらいにしか思われていないのだろう。

パウロ
(こいつら、俺のこと知らねえのか)

パウロ
(……だったらちょうどいいぜ)

周囲の冒険者たちはパウロを知っているのか、いさかいに関わり合いたくないのか、口を挟んでこようとはしない。

パウロはにやりと嘲りの笑みを浮かべると、男たちを煽った。

パウロ
「説教なんざする気はねえよ。
お前らみたいなヤツは誰に何を言われたって、心を入れ替えようとは思わないだろうしな」

パウロ
「つーか、先に声をかけたからなんだってんだ?
早い者勝ちも何も、まだその子を正式にパーティに入れたわけじゃねえんだろ?」

パウロ
「だったら俺が口出ししたっていいじゃねえか。
うちのパーティのほうが強いし、セッサタクマ? するなら都合がいいぜ?」

冒険者A
「ああ? テメェが俺らより上だってのか?」

パウロ
「もちろん。試してみるか?」

冒険者A
「上等じゃねえか!
生意気な口きいたこと後悔させてやるぜ!」

冒険者B
「? なあ、こいつどこかで……」

冒険者A
「うるせえ! やってやんぞ!」

男たちが拳を握って殴りかかってくる。
力任せの直線的な動きだ。

パウロ
「相手じゃねえな」

パウロは軽く身体をよじって攻撃を避けると、カウンターで男のガラ空きだった腹部に拳を叩き込む。

そのまま流れるようなステップで、もうひとりの男の側頭部に強烈な蹴りを食らわせた。
そしてパウロは、倒れた男たちに追撃を与えていく。

パウロ
「どうした? こんなもんか?」

冒険者A
「ぐ、はっ……! なん、だ、こいつ……!?」

冒険者B
「お、思い出した……こいつは、黒狼の――」

それは一方的な蹂躙だった。
赤子の手をひねるように男たちをボコボコにしていく。
誰もパウロを止めようとしない中――。

ゼニス
「も、もうやめて!」

パウロ
「っと……」

パウロの振り上げた腕を掴むように、ゼニスが飛びかかってきた。

彼女にパウロを腕ずくで止められるほどの腕力はない。
振り払ってしまわないように気をつけながら動きを止めて、ゼニスと顔を合わせる。

ゼニス
「もう充分でしょう?
これじゃあ、弱いものイジメだわ!」

パウロ
「こいつらをかばうのか?」

どことなく面白くない。
パウロは眉間に皺を寄せた。

ゼニス
「当然よ! あなたいきなり現れていったいなんなの!?」

ゼニス
「それにどうして誰も止めないの?
みんな見てるだけなんて……!」

冒険者B
「ま、間違いねえ……こいつ……、黒狼の牙の……パウロだ!」

冒険者A
「っ、バケモンじゃねえか!
やってられっかよ!!」

パウロ
「あ」

ゼニス
「え?」

男たちはボロボロの身体とは思えないほど俊敏に起き上がると、一目散に逃げていく。
その場に残されたゼニスが呆然と目を丸くしていた。

ゼニス
「黒狼の牙……? あなたが?」

パウロ
「ああ。リーダーのパウロだ」

ゼニス
「噂には聞いたことがあるわ。
どおりで誰も止めようとしないはずね……」

パウロ
「まあ、誰も無関係なことに首つっこんで、怪我したくねえだろうしな。
冒険者に必要なのは正義感じゃないってことだ」

パウロ
「とにかく、これで決まりだな。
あんたにはうちのパーティに入ってもらうぜ」

ゼニス
「!? 何を勝手に――」

ゼニスが言い返そうとした時、ギルドの職員が重い腰を上げて事態の収拾に乗り出した。

ゼニス
「ま、待って! まだ私の話が――」

パウロ
「あとでな、あとで。
エリナリーゼ、そいつのこと見ててくれ」

エリナリーゼ
「……しかたありませんわね。
早く終わらせて戻ってきてちょうだいな」

パウロは「おぅ」と短く返事をすると、ギルドの職員につれられて奥の部屋に行ってしまう。

残されたエリナリーゼがゼニスを見ると、彼女は納得できないと言わんばかりの顔をしていた。

エリナリーゼ
「なんて顔をしていますの?
あなたは彼に助けられましたのよ」

ゼニス
「助けられたってどういうこと?
急に現れたと思ったら突然暴れ出して……」

ゼニス
「いったいどういうつもりなの?
あれじゃあ、まるで……」

エリナリーゼ
「悪漢のようだとおっしゃりたいの?」

ゼニス
「……ええ」

エリナリーゼは呆れて溜め息をつく。

エリナリーゼ
「何もわかっていませんのね。
もしあのまま彼らについて行っていたら、どうなっていたことやら……」

エリナリーゼ
「あなたあのままだと不当に安い金額でこき使われてましたのよ」

ゼニス
「え?」

エリナリーゼ
「それだけじゃありませんわ。
切磋琢磨、訓練だと称して魔物の盾にされていたかもしれません」

ゼニス
「っ!?」

エリナリーゼ
「あるいは気絶するまで延々と魔術を使わされていた可能性もありますわね。
もっと言えば……」

エリナリーゼ
「あなたは見目麗しい少女です。
身体を要求されて、断ってもムリヤリ……なんてことも考えられますわ」

ゼニス
「ま、まさか! そんなこと……!」

ゼニス
「あるはず、ない……わよ、ね……?」

ゼニスの常識では考えられないことだったらしい。
動揺する彼女にエリナリーゼは肩をすくめた。
その行動だけで、言葉にしなくても返事は伝わる。

ゼニス
「わ、私……」

エリナリーゼ
「パウロ自身も善人とは言えないですけど、新人を騙して搾取しようなんて、
小さなことを考える人物ではありませんわ」

エリナリーゼ
「乱暴で手の早いところがありますけど、あれでいて懐の大きい、頼りになる男でしてよ」

ゼニス
「………………」

ゼニスは何も言えなくなった。
エリナリーゼもそれ以上何も言わず、ふたりはパウロが帰ってくるのを待っていた。

パウロが戻ってくるのと入れ違いに、エリナリーゼは「新入りの件、他のみんなに話してきますわ」と言って、ギルドを出て行く。

ゼニス
「……どうして?」

ふたりになり、最初に口を開いたのはゼニスだった。

ゼニス
「どうして、私を黒狼の牙に誘ったの?
私はまだDランクの新人冒険者よ。
それなのに……」

パウロ
「あー……そりゃ、あれだよ。
さっきも言ったとおり、うちには回復役がいねえからな」

パウロ
「それに、Aランクのパーティとして、下のモンをビシッとシメておかなきゃなんねえ。
だから助けたんだ」

理由を口にしながらも、パウロ自身、なんとなくそれだけではないような気がしていたが、本心は自分でもよくわからない。

ゼニス
「そう……。
だけどやっぱり荷が重いわ……」

パウロ
「今はそうかもしれねえけど、いずれ活躍できるようになればいいじゃねえか」

パウロ
「断るなんてもったいないぜ。
一人前の冒険者になりたいなら、うちに入るのが1番だってわかるだろ?」

ゼニス
「それは……」

パウロ
「黒狼の牙には回復役がいねえ。
今より上を目指すなら必要な役割だ」

パウロ
「だから、あんたに入ってほしい。
絶対に後悔はさせねえから、仲間になってくれ」

パウロとゼニスの視線が外れない。
ふたりはしばらく見つめ合っていたが、やがて彼女は覚悟を決めたように、そっと頷いた。

パウロ
「よしっ、決まりだな!」

ゼニス
「これからよろしく――」

パウロ
「堅っ苦しいのはいい!
仲間を紹介するから、早く行こうぜ!」

ゼニス
「きゃっ!」

パウロはゼニスの手を握って駆けだす。
彼女は驚いて躓きそうになりながらも、パウロに手を引かれてギルドを飛び出した。

サナキア王国に滞在している時、黒狼の牙はギルドにほど近い場所にある酒場の2階に集まっていることが多い。

もっともほとんどの場合、全員が揃うことはなかった。
ギースは賭場へ繰り出しているし、エリナリーゼは男と宿にしけこんでいるからだ。

けれどその日は珍しく、メンバーの全員がそこに集合していた。

エリナリーゼ
「おおよその話はしていますわ」

パウロ
「お、そうか。
だったらまどろっこしいのはナシでいいな。
紹介する、ゼニスだ」

ゼニス
「ゼ、ゼニスです! よろしくお願いします!」

パウロ
「そんなに緊張すんなって!
普通に話せよ。
堅っ苦しいのはナシだって言ったろ?」

ゼニス
「え、ええ、そうだったわね」

ギレーヌ
「彼女は治癒術師らしいな」

パウロ
「ああ。これまでうちにはいなかったが、今後必要になってくる役割だ」

エリナリーゼが説明をしてくれていたからか、ゼニスを紹介した感触は悪くない。

ゼニス
「冒険者としてのランクはまだ低いけど、早く追いつけるように一生懸命がんばるわ!」

ギース
「意気込みはわかるけど、ランクはどうなんだ?
今すぐうちに入れるわけじゃねえんだろ?」

パウロ
「おぅ。ゼニスはDランクだから、ランクが上がるまでは見習いって形になる」

パウロ
「で、正式にパーティに加入したあとは、報酬も等分だ。
新入りだから少ないとか、そういうのはナシ」

ゼニス
「等分!? そんなのダメよ!」

初めて聞いた条件に、ゼニスはハッとして声をあげた。

ゼニス
「自分の実力はよくわかってるわ。
Aランクのパーティに入って、等分の報酬をもらえるほどの働きなんて……」

パウロが口にするのはゼニスにとっては好条件だが、他のメンバーにとっては、わけ前が減ることを意味している。

とんでもないと首を横に振るゼニスに、黒狼の牙が返してきた反応は、あっさりしたものだった。

ギレーヌ
「等分でいい。
入った順番に報酬の額は関係ないからな」

ギース
「だな。その理屈で言うなら、俺やタルハンドが1番もらえるわけだけど、そういうこともねえし」

エリナリーゼ
「黒狼の牙のわけ前は一律ですもの。
ゼニスが正式に加入したあとは、それで構いませんわ」

ゼニス
「っ……そんなに簡単に………、それに、みんなは、私が入ってもいいの?」

Aランクのパーティは敷居が高いと思っていたのだろう。ゼニスは目を丸くする。

タルハンド
「リーダーがつれて来たんじゃ。
文句などあるはずもない。
正式に加入できるよう励むといい」

エリナリーゼ
「あらあら? 嫌ですわぁ。
もう先輩風を吹かせていますの?」

タルハンド
「なんじゃと?」

ギース
「やめろって、ふたりとも!」

喧嘩腰のエリナリーゼとタルハンドの間にギースが割って入る。黒狼の牙の日常茶飯事の光景に、ゼニスは丸くした目をまたたかせ、隣のパウロを見た。

ゼニス
「あの、つまり……」

パウロ
「ゼニスが受け入れられたってことだ!」

パウロ
「つーわけで、ゼニスはこれからドンドン依頼を請けて、さっさと昇格しちまうぞ。
もちろん俺も手伝うし、あっと言う間にBランクだ!」

ギレーヌ
「パウロだけじゃない。
あたしたちも協力する」

エリナリーゼ
「ええ、ゼニスはまだまだ未熟なようですし、わたくしが冒険者としてのイロハを教えてさしあげますわ」

エリナリーゼ
「ふふふ、デリカシーのない男たちでは、細かい気配りもできませんでしょうしね」

ゼニス
「! あ、ありがとう!」

ギレーヌ
「気にするな」

ゼニスが仲間たちと打ち解けていくのを見て、パウロは笑みを浮かべて嬉しそうに頷く。
この分であれば正式加入までに、さらに仲は深まるだろう。

ギース
「……おい。ちょっとこっち」

パウロ
「ん?」

女性陣がキャッキャッと話しているのを眺めていると、不意にギースに肩を叩かれた。
彼は少し離れようと、ジェスチャーでパウロを隅へ誘導する。

パウロ
「なんだよ?」

ギース
「ちょっと声落とせって」

パウロ
「? 内緒話か?
どうせならお前とじゃなくて、美人なねえちゃんと色っぽい内緒話をしたかったぜ」

ギース
「ふざけんな。まじめな話だ」

ギースは声を抑えたまま、真剣な表情をパウロに向けていた。

ギース
「あの子を入れるのは反対じゃねえよ。
イイコそうだしな」

パウロ
「何が言いたいんだ?」

ギース
「タイミングだ」

パウロ
「は?」

ギース
「パーティの仲間……ギレーヌとエリナリーゼと、そういう関係になってるとこに、他の女の子をつれて来たりして大丈夫なのか?」

ギースが何を心配しているのか理解するまで、時間はかからない。
彼の鋭さをパウロはよくわかっている。

パウロ
「俺がゼニスにも手を出すんじゃねえかって?」

ギース
「問題は手を出すかどうかじゃない。
手を出したあと、黒狼の牙が大丈夫なのかってことだ」

ギース
「仲間同士の関係がギクシャクして、上手く回らなくなったらどうする気だよ?」

パウロ
「ったく、俺も信用ねえな」

ギース
「女に関しては信用ゼロだ」

パウロ
「テメェ……」

ギースにきっぱりと言い切られて、パウロは口の端を引きつらせた。
だが否定できるほどの材料を持ち合わせていない。

ギース
「……ま、下半身が自由すぎるお前にいくら言ったところで、あの子とそうなる時はそうなっちまうんだろうけどさ……」

パウロ
「俺は――」

ギース
「いい、いい。何も言うな」

ギースはパウロの肩に手を置いた。

ギース
「ただ頭の隅のほうにでも、俺が言ってたことを覚えといてくれよ」

パウロ
「ふざけんな」

もしも仮にそういう事態になったとして、頭の隅にギースがちらつくなんて最悪だ。
パウロは肩に乗った手を振り払う。

パウロ
(俺とゼニスがどうなったとしても、黒狼の牙は大丈夫に決まってんだろ)

パウロ
(エリナリーゼやギレーヌとヤっても問題なかったし、ギクシャクなんてするか)

パウロ
(そもそも、こいつは俺をなんだと思ってんだよ)

それからというもの、パウロを中心に黒狼の牙のメンバーは、ゼニスが請けた依頼を積極的に手伝うようになった。

ギースの心配に反して、挨拶代わりに尻を触る以外、パウロがゼニスに手を出すことはなく、パーティ間に不和がもたらされることはなかった。

ゼニス
「みんな、見て!」

依頼を終えて酒場に飛びこんできたゼニス。
彼女は頬を紅潮させて満面の笑みを浮かべている。

パウロ
「お、どうしたどうした?
えらくはしゃいでんじゃねえか」

ゼニス
「きゃ!」

ゼニス
「パウロ!
いつも言ってるでしょう!?」

パウロ
「はは、悪い悪い」

パウロはゼニスの臀部を触っていた手を顔の横に上げ、ヘラッと笑って謝った。

もうすっかり慣れてしまったのか、ゼニスは気を取り直してメンバーに向き直る。

ゼニス
「改めて、見て!
私、Cランクに昇格したの!」

ゼニスは冒険者カードを見せてまわった。
ランクがDからCに変わっているのを目にして、酒場の2階の空気が一気に明るくなる。

ギース
「おおっ、早かったな。もう昇格したのか!」

タルハンド
「実にめでたい!
どれ、儂が1杯奢ってやろう!」

ギレーヌ
「じゃあ、あたしも奢るぞ。
好きなものを頼むといい」

パウロ
「これであとひとつだな。
Bランクに上がれば正式にパーティを組めるぜ!」

ゼニス
「ええ、これまで以上にがんばるわ!
早くみんなの本当の仲間になりたいもの!」

エリナリーゼ
「ふふふ、そんな言い方をされたら寂しいですわ。
まるで今の関係はニセモノみたいに聞こえますもの」

パウロ
「お、エリナリーゼ」

エリナリーゼがたおやかな動きで2階に上がってくる。

パウロ
「戻ってこねえから、男のとこにでもしけこんでると思ったぜ」

エリナリーゼ
「いやですわ。こんなにおめでたい日に、ゼニスのお祝いをしないでどうしますの?」

エリナリーゼ
「ゼニスったら、昇格が嬉しすぎて、ギルドを飛び出して行ってしまったんですもの」

ゼニス
「あの……置いていってごめんなさい。
恥ずかしいわ、こんな、子供みたいな……」

ゼニスは照れくさそうにはにかみながら、エリナリーゼに謝った。
すると彼女は「謝らなくてもいいんですわよ」と微笑む。

パウロ
「なんにしても、Cランクに上がれば、今までよりもっとゼニスの力になれるな」

エリナリーゼ
「ええ、そうですわね。
Cランクからは討伐系の依頼がありますもの。
わたくしたちが手伝えば昇格はあっと言う間ですわ!」

ゼニス
「討伐の依頼……これまでよりもっと、みんなに頼ることになるのね……」

ゼニスの表情にサッと影が滲むのを、その場にいた全員が気づいた。

ギレーヌ
「どうしてそんな顔をする?
いいじゃないか。頼れば」

ギース
「そうそう、適材適所だぜ。
俺だって戦闘では基本的に逃げ1択だ。
得意なヤツに任せてればいいんだよ」

ギース
「ま、ゼニスは回復役として、参加するんだろうけど。
ははっ、戦闘面では俺より役に立つかもな!」

タルハンド
「うむ、己のやるべきことをやる。
それがパーティの基本じゃ」

エリナリーゼ
「偉そうなことを言いますわね。
黒狼の牙を組むまでは、どこのパーティにも入れなかった男の言葉とは思えませんわ」

タルハンド
「なんじゃと? 貴様も似たようなものじゃろ。
行く先々の男を食い漁っては、長居できずに追い出されておったくせに」

エリナリーゼ
「追い出された?
わたくしは自分から出て行っていたのですわ。
イイオトコを求めて!」

ギレーヌ
「あたしも、パーティに入れなかったことはないぞ」

ギース
「自慢げに言えたことじゃねえだろ。
入っては騙され、搾取されてたんだから」

ギレーヌ
「む……」

喧嘩腰で軽口を叩き合う者たちがいる。
ズケズケと言いたいことを言える関係だ。

誰に対しても遠慮はない。
それは全員が全員の力を認めているからだ。
口にはしないが信頼と尊敬の念がある。

パウロ
「居心地いいだろ」

ぎゃあぎゃあ言い合う仲間たちを横目に、パウロはちゃっかりとゼニスの隣を陣取った。

ゼニス
「?」

パウロ
「貴族の家よりずっと、居心地がいい」

ゼニス
「! え……あ……気づいてたの?」

ゼニスの目が見開かれる。
その顔にパウロは噴き出した。

パウロ
「まーな。他のヤツらも気づいてるんじゃねえか?
ゼニスがどっかのお嬢様だってことくらい。
まさかバレてないとでも?」

ゼニス
「だ、だって、誰も何も言わなかったわ!」

パウロ
「冒険者ってのは過去を詮索したりしないんだよ。
だから俺もこれ以上は言わねえ」

ゼニス
「……うん」

パウロ
「ただ、貴族としての人生を捨てて、冒険者になろうってヤツの気持ちはわからなくない」

パウロ
「そういうヤツにとって、ここは最高に居心地のいい場所だ」

パウロ
(俺がそうだから、わかる)

パウロは仲間たちに真っ直ぐな目を向けたまま、眩しげに目を細めて笑みを浮かべた。

ゼニス
「ぁ……」

ゼニス
「……パウロにとって、ここは大事な場所なのね。
好きでたまらないって顔してるわ」

パウロ
「……そんな顔してねえよ」

ゼニス
「うそ、してたわ」

くすくす笑うゼニスに、パウロは頬を掻く。
彼女が隣で笑っていると妙に落ちつかない。

ゼニス
「あの時……ギルドで、私を助けてくれたのがパウロでよかった」

ゼニス
「……私、騙されてるなんて気づきもしなかったわ」

ゼニス
「家を飛び出して冒険者になって、自分なりにがんばってきたの……Dランクになって、そろそろパーティを組もうかなって……」

パウロ
「家を飛び出したばっかの、貴族のお嬢様か……どおりで何も知らないわけだぜ」

ゼニス
「ええ……何も知らなかった。
だからあの人たちが声をかけてくれた時、親切で、いい人たちなんだと思ったの……」

ゼニスがそっと目を伏せる。
彼女の口元には柔らかな笑みが浮かんでいた。
それなのに、閉じた目蓋の間からは涙がこぼれる。

ゼニス
「それに、とっても誇らしく感じたわ。
自分よりも上のランクの冒険者に認めてもらって、仲間として求められたことが……」

ゼニス
「これで私も、一人前の冒険者になれたんだって……!」

当時のことを思い出すだけで、胸が痛くなる。
15歳の少女は思いのたけを吐き出すと、そのまま顔を両手で覆ってしゃがみ込んだ。

線の細い肩が震えている。
こらえきれない嗚咽が漏れていて、その頼りない姿を見ているとパウロの胸がざわついた。

パウロ
「……泣くなよ」

これまで何人もの女を口説いて遊びまわってきたのに、上手い慰めの言葉はひとつも思い浮かばない。

パウロ
「……なあ、泣くなって」

涙に濡れた手を取る。

パウロ
(泣き顔は似合わない、笑ってくれって、そう言いながら涙を拭いて――)

弱っている女は口説きやすい。
これまで他の女にしてきたように、泣きやませて、慰めながら距離を縮めればいいと、経験則がものを言う。

それなのに、パウロの口から飛び出したのは、ただの女に向けての言葉ではなく、仲間に向けての言葉だった。

パウロ
「未だに忘れられねえくらい、傷ついたのはわかる。
けど、今のゼニスは俺たちの仲間だ」

パウロ
「みんな認めてるぜ。
ゼニスが一人前の冒険者だって」

ゼニス
「パウロ……」

ゼニス
「……ありがとう」

涙をぬぐいながら、ゼニスがふっと微笑む。

タルハンド
「パウロ! 飲むぞ! 祝いの酒じゃ!!
ゼニス、主役はこっちじゃぞ!」

パウロも笑みを返した時、タルハンドがパウロたちを呼んだ。
ふたりは顔を見合わせる。

パウロ
「タルハンドがあの調子じゃ、今日は寝かせてもらえそうにねえな。
覚悟しとけよ、ゼニス」

ゼニス
「ええ、がんばるわ」

パウロはゼニスの手を引き、仲間たちが待つテーブルに向かって足を踏み出した――。



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